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    笑顔と愛と医療の国、キューバ
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    笑顔と愛と医療の国、キューバ
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    内務省のビル側面に描かれているチェ・ゲヘラの肖像
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    キューバの歴史
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    ハバナの日常
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    ハバナの日常:壁の落書きまで、アートが身近にある街
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    ハバナの日常:レストランでは、モヒートを片手に葉巻をくゆらせ、生バンドのサルサを楽しむ
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    ハバナの日常:キューバといえば「葉巻」「ラム」のイメージ
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    ハバナの日常:アーティスティックな50年代、60年代のヒストリックカー
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    ハバナの日常:タイムスリップしたかのような不思議な感覚
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    ハバナの日常:キューバでは配給制度がある
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    ハバナの日常:配給で卵やミルクを持って歩く人
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    ハバナの日常:日中から何をするでもなく座っている人たちをたくさんみかける
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    ハバナの日常:ハバナの人たちは笑顔が多く、街中はとてもいい雰囲気に包まれている
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    ハバナの日常:観光客用のおみやげを売る人
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    ショート・トリップを終えて:葉巻は1本が太く、一度火をつけると30分から40分はその場を離れられない
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    ショート・トリップを終えて
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    キューバの医療:国民ひとりあたりの所得と新生児の死亡率(gapminderより引用)
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    キューバの医療:キューバ国民に対する教育が無料
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    キューバの医療:キューバ医療は日本の医療の手本となる部分もたくさん存在していると気づかされる
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    日本がキューバから学べること
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    日本がキューバから学べること:「笑顔」「愛」「医療」の国
SPECIAL CONTENTS

REPORT FROM CUBA
笑顔と愛と医療の国、キューバ

2015年1月、友人に誘われて初めてキューバを訪れました。キューバといえば2014年12月にオバマ大統領が国交回復を宣言したことにより、今、歴史的転換を迎えようとしています。直感的に何かがあるという確かなもと、日本を発ったのですが、結果として、私の人生観を大きく左右する旅となりました。キューバの医療制度が、今後、日本の医療の方向性のお手本になるかもしれない。第一回目は、そう思うにいたったキューバ・トリップのレポートをお届けします。
笑顔と愛と医療の国、キューバ
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キューバの歴史

キューバ・レポートをご覧いただくまえに、おさらいしていただきたいのがキューバの歴史です。以下の外務省のサイトには、ホセ・マルティ、フィデル・カストロ、チェ・ゲバラといったキューバを語るに欠かせない重要な人物と、彼らの理念、社会主義の選択など、革命前後の歴史が外務省のサイトに簡潔にまとめられています。まずはこちらをご確認ください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol45/

ハバナの日常

キューバといえば「葉巻」「ラム」のイメージ。街中のバーやレストランでは、モヒートを片手に葉巻をくゆらせ、生バンドのサルサを楽しむ人々の姿を頻繁に見かけました。スペイン時代の教会のような歴史的建造物から、壁の落書きまで、アートが身近にある街であることも特徴。そんなアートを背景に、これまたアーティスティックな50年代、60年代のヒストリックカーが華を添えます。

とはいえ中身は、ステアリングはスバル、ギアボックスはホンダ、サスペンションはアウディなど、中身は流用できる中古パーツを組み合わせて使っているので50-60年代なのは外側だけなのだとか。古い建造物が建ち並ぶ美しい街並といいヒストリックカーといい、まるでその時代にタイムスリップしたかのような不思議な感覚を味わいました。

キューバでは配給制度があるため、街で卵やミルクを持って歩く人をよくみかけました。街で出会ってランチをともにしたキューバ人男性は、「家の冷蔵庫はからっぽだよ!」とあっけらかんとしていましたが、悲壮感がないのはキューバの人の特徴。十分に支給されている訳ではありませんが、助け合いの意識が強く、食料が足りなくなるとご近所同士で分け合うことも日常茶飯事なのだとか。

ハバナの街を歩いていると、日中から何をするでもなく座っている人たちを本当にたくさんみかけます。上を向いて2階にいる人とたわいもない話をしたり、葉巻をくゆらせたり。非常にゆっくりとした時間が流れているように見えました。もちろん路上でココナッツを売ったり、観光客用のおみやげを売ったりと仕事中の人もいますが、彼らの共通点は「笑顔」。ハバナの人たちは笑顔が多く、そのせいもあってか、街中はとてもいい雰囲気に包まれています。

普段はたばこや葉巻とは無縁ですが、「郷に入れば郷に従え」ということでハバナでは葉巻にトライしました。葉巻は、1本が太く、一度火をつけると30分から40分はその場を離れられません。街を眺めたり、お酒を飲んだり、おしゃべりするにはちょうどいいですが、時間にゆとりがないと楽しめないアイテム。現地では携帯電話も一切使用しなかったので、さらに時間がゆっくり流れているように感じます。

ショート・トリップを終えて

キューバでの3日間は、このように何をするでもなく、観光や街、人を眺めて過ごしました。そこでふと考えたのが

「この国の人たちは、どうしてこんなに幸せそうなんだろう?」

ということ。お金もない、モノもない社会主義のキューバの人々が、みんな笑顔で幸せそうに暮らしているのはなぜだろう? 帰国後もこのことがずっと頭から離れませんでした。 例えば、お土産に葉巻を日本に持って帰ってきたのに、まったく吸う時間がない。もちろん仕事があるので時間に追われているのは確かですが、時間というより楽しむ余裕がないのです。キューバの3日間では一度も使用しなかった携帯電話を30分おきにはチェック。レストランに入っても、席に着いたら目の前の人と話をする前に、まず電話をチェックし下を向く。今自分がやっていることは、本当にしたいことなんだろうか? 実は、したいと「思わされている」だけなのではないだろうか? ある程度モノもお金もある我々日本人は、本当に幸せなんだろうか?

「キューバの人と日本人の差は?」

キューバに行くまでは感じたことのない疑問が頭を巡りました。それが何かを知るために、キューバという国をもっと知りたい。それから私のキューバ研究が始まりました。

キューバの医療

まず興味をもったのが、キューバの医療です。この表は、吉田太郎さんの著書『世界がキューバ医療を手本にするわけ』にも掲載されていた、国民ひとりあたりの所得と新生児の死亡率を国別に示したもの(gapminderより引用)。これを見ると、所得が高ければ高いほど新生児の死亡率が低いという相関関係がわかります。しかし、その相関図に当てはまらないのがキューバで、所得は低いにも関わらず、健康度(新生児の死亡率)はアメリカをしのいでいます。平均寿命も「79歳」と先進国並み。また、ソ連崩壊後のキューバは、食べるものがないほど逼迫した状況が続いたにもかかわらず、飢え死にした人をひとりも出さなかったと言われています。
これらの理由は、「貧富の差はあっても、医療と教育に差はない」というホセ・マルティの思想を受け継いだカストロの理念のもとに、医療大国の道を歩み始めたことにあるのではないでしょうか。
キューバは現在も医療費はすべて無料です(ちなみに小学校から大学に至るまで授業料も無料)。日本には国民約2000人に対してひとりの医師がいますが、キューバはなんと約600〜800人に対してひとり。どのエリアにもかかりつけの先生が存在し、町のお医者さんから高度医療を施す施設まで5段階程度に分けられ、どういった病気、ステージだったらどこの病院に行くというシステムができあがっているのです。これは、日本の厚労省が推進する地域包括ケアのようなものが、キューバでは確立されています。

また、ワクチンを作り出すなど最新の製薬技術を持つことでも知られていますが、ソ連崩壊後の時代には薬も十分に手に入らなかったこともあり、鍼やマッサージといった薬を無駄に使わない代替医療も同時に進んでいます。世界保険期間WHOも、キューバの医療制度に太鼓判を押しています。
さらに、医師の育成制度には目を見張るものがあります。キューバ国民に対する教育が無料なのは前述のとおりですが、アフリカなど第三国の優秀な人材に対して、キューバで医療を学び、医師資格をとることができるシステムを構築しています。資格取得後は、まず世界の医療が必要な地域で2〜3年医療に携わり、その後もキューバに残るのではなく自国に戻って医療を発展させるように促していくのだとか。こういった取り組みが、先進国並みもしくはそれ以上の医療制度を作り上げてきたのです。
こうして調べるまではキューバ医療の知識がまったくなく、キューバに行ったときも「医療分野でお手伝いできることがあるだろうか」くらいに思っていましたが、それはおごった考えであり、キューバ医療は日本の医療の手本となる部分もたくさん存在していると気づかされました。

日本がキューバから学べること

ホセ・マルティの思いを受け継ぎ、「真の革命家に必要なものは愛である」という理念のもとにキューバ革命を起こしたチェ・ゲバラやカストロが目指した国というのは、誰もが平等で、医療と教育が無料で受けられ、人が人を思いやる心、助け合う心をもつ、本当の意味で貧富のない国でした。
これは、私の父である山本孝之が、理念として掲げる「みんなの力でみんなの幸せを」その幸せとは「自立して自由 に生きること、周りの人の役に立つ働きができたときに、人は幸せを感じる」という思いとリンクします。

「みんなの力で、みんなの幸せを」

これまで、さわらびグループの基本理念であるこの言葉を、言葉としては理解していましたが、キューバを通じて体感として少しは自分のものにできるようになったと思います。「ラム」「葉巻」の国だけでなく、「笑顔」「愛」「医療」の国であり、この基本理念を地でいっているのが、キューバという国なのです。
今回のキューバ旅によって、私は人生観を大きく左右させられました。何か答えを見つけたというよりも、これから私が生きていく道、目指していく方向とは? を、真に考えるきっかけをもらった気がしています。
今後、アメリカとの国交回復によってキューバも大きく変わってしまうかもしれませんが、少なくとも今のキューバには、医療にかぎらず、日本が経済成長と同時に忘れてきてしまったものがあるのかもしれません。
友人のひょんな誘いから実現した旅でしたが、私にとって必然であり運命だったと感じています。近い将来もう一度キューバを訪れ、キューバ医療の現場を取材し、そのレポートを次回お届けしたいと思っています。

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