山本左近NEWS No.113

2026.9.11

政府は、2027年(令和9年)4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる方針を決定しました。例えば、これまで税込1,080円だった食品は、単純計算で1,010円に。物価高が続く中、毎日の買い物にかかる負担を直接軽くすることが狙いです。

家計の負担軽減につながる一方、税率を大きく引き下げることで、農家や商店、飲食店の皆さんには、新たな実務上の課題も生じます。

特に、農業が盛んなこの地域では、ぜひ知っていただきたいポイントがありますので、解説します。

 

《消費税率の対象は?》

対象となるのは、現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品です。対象範囲は、基本的に現在と変わりません。

一方、店内での外食はこれまでどおり10%です。また、週2回以上発行される新聞の定期購読分も現在の8%のままで、今回の引下げの対象外です。

 

《農家は「売るとき1%、買うとき10%」》

この地域で特に重要なのが、農業の皆さまへの影響です。

農産物を売るときの税率は1%になりますが、肥料や農薬、燃料、農機具などを買うときは10%のままです。そのため、仕入れで支払う消費税の方が大きくなるケースが増えます。本来、この差額は申告によって還付を受けられますが、対象となるのは本則課税の事業者です。国の資料では、全国約84万の農業経営体のうち、農産物販売金額5千万円以上の経営体は約3%。大多数の農家は、そのままでは還付を受けられません。

そこで国は、税制上の特例措置や相談体制の整備、経費負担への給付措置などを検討しています

 

《飲食店は「店内10%、持ち帰り1%」に》

影響を受けるのは、農家の皆さまだけではありません。

飲食店では、店内で食べる場合は10%のままですが、テイクアウトは1%となります。現在は「10%と8%」の2ポイント差ですが、これが「10%と1%」の9ポイント差に広がります。

そのため、会計や価格設定など実務への影響に加え、店内飲食とテイクアウトの税率差が経営に与える影響にも注意が必要です。

国は、外食事業者に対する資金繰りや省力化への支援、テイクアウトなど事業の多角化への支援を行う方針です。食品製造・流通業も含め、具体的な支援内容については、今後の予算編成の中で検討されます。

 

《中低所得の現役世帯には『就業者負担軽減支援金』を支給》

食料品の税率引下げに加え、中低所得の現役勤労者等には、残る1%相当分を所得に応じた給付で支援する方針です。子どもを扶養している場合は、人数に応じた加算も予定されています。

給付金は非課税で、原則として差押えも禁止。令和11年度から予定される本格的な制度への「つなぎ」として、家計の負担を軽減する仕組みです。

 

《制度の詳細はこれから》

政府の方針は示されましたが、具体的な制度設計はこれからです。今後、与党の税制改正大綱をまとめ、秋の臨時国会に関連法案を提出し、成立してはじめて制度が確定します。

特に農家や事業者の皆さまに関係する特例措置や給付、手続きなどは、今後さらに具体化されます。

制度の詳細が決まり次第、この紙面でも改めてお伝えします。事務所でもご相談を承りますので、ご不明な点があれば遠慮なくお声がけください。

左近ニュース113号