山本左近NEWS No106
2026.7.17
7月17日を会期末とする第221回特別国会も最終盤を迎えています。その中で、日本の将来を左右する「副首都法案」が7月15日の衆議院本会議で可決されました。今回は、そのポイントを分かりやすく解説します。
《副首都法案とは》
正式名称は「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案」。とても長い名称ですが、その目的は明快です。
首都直下地震や富士山噴火などにより東京の中枢機能が停止した場合に備え、行政機能などを担う「副首都」と「首都中枢機能代替地域」を整備することです。
しかし、この法案の価値は有事への備えだけではありません。平時から地方への民間投資を促し、「多極分散型経済圏」を形成することも大きな狙いです。また、審議では情報通信技術の活用も盛り込まれました。災害時には庁舎だけでなく、行政を支える情報システムや通信環境を維持することも不可欠だからです。
《大阪都構想との違い》
「大阪都構想」は、大阪の二重行政を解消するための地方制度改革でした。
一方、今回の法案は、日本全体の危機管理体制を強化し、経済や行政機能を分散する国政レベルの制度です。
現在、大阪、愛知(名古屋圏)、福岡、北海道(札幌)などが指定に意欲を示しています。しかし、この制度は特定地域の利益を競うものではありません。国全体の安全保障と持続的な成長につながる制度として、公平で透明性のある運用が求められます。
《指定地域に期待される役割と今後の課題》
指定地域には、大きく二つの効果が期待されます。
第一に、「国のお墨付き」により民間投資を呼び込みやすくなることです。法案には規制緩和や税制措置が盛り込まれ、企業がBCP(事業継続計画)の観点から本社機能やデータセンターなどを移転・分散する後押しとなります。
第二に、国の予算を活用したインフラ整備が進み、防災力と地域経済の強化につながることです。
候補地の強みはそれぞれ異なります。大阪は都市機能と準備実績、愛知は日本最大のものづくり基盤、福岡は首都圏との同時被災リスクの低さが強みです。
一方で、平時からどこまで機能を分散させるのかという実効性や、「結論ありき」との疑念を招かない客観的で透明性の高い選定基準の確立が今後の課題です。
《東三河が担う「支える力」》
この議論は、東三河にとっても決して他人事ではありません。
三河港は、完成自動車の輸入台数・金額で33年連続日本一、輸出も名古屋港に次ぐ全国2位を誇ります。首都圏の港湾が被災した場合、日本の物流を支える重要な役割が期待されます。また、名豊道路は津波の影響を受けにくい高架構造で三河港と直結しており、有事の輸送路としても大きな強みがあります。さらに、田原市は全国有数の農業産出額を誇り、食料供給の面でも日本を支える地域です。
《平時も有事も支え合える国へ》
一方で、東三河自身も南海トラフ地震への備えが欠かせない地域です。だからこそ、「代替拠点」か「被災地」かという二者択一ではなく、全国各地がそれぞれの強みを生かし、互いに支え合える多極分散型の国づくりを進めることが重要だと考えます。
平時も有事にも強い日本列島をつくるため、この「副首都法案」が成立後に実効性ある運用に向け、全力を尽くしてまいります。






