山本左近NEWS No54
2025.6.11
令和7年6月24日から、マイナンバーカードの様々な機能をiPhone(以下、iP)で利用できるようになります。これに先行して、アンドロイド端末では令和5年5月11日から同様のサービスが開始していました。今回はマイナンバーカードのスマホ搭載について解説していきたいと思います。
《マイナ保険証の現在》
マイナカードの交付は平成28年1月から開始し、現在の保有枚数は9,772万枚。国民の78%にまで浸透しました。また、このうちマイナ保険証は8,301万件、カード保有者の85%が搭載しています。マイナ保険証としての利用率は、令和6年12月従来の健康保険証の新規発行の停止により上昇しましたが、現在は27.2%です。これまでは、医療機関・薬局で提示された健康保険証の情報を職員がシステムに手入力していました。しかし、マイナ保険証の利用より、資格情報などを自動取得することができ、事務職員の負担軽減、誤記リスクの減少に繋がります。また、自分が使った薬や健診などの情報を口頭でなくデータで医師等に伝えることができ、より適切な診療や重複投薬の回避が可能となります。
《iPのマイナンバーカード》
マイナンバーカードをiPの中に入れて利用できるようになります。日本のiPのシェア率は52%と高く、多くの皆さんに利便性を感じていただけるものと考えます。実物のマイナンバーカードの代わりに、顔や指紋での確認(フェイスIDやタッチID)で、マイナポータルへのログインや、コンビニでの証明書取得などの行政サービスを、簡単、安全かつ便利に利用できるようになります。
他方で、安全性を心配される方もいらっしゃると思いますが、iPのマイナンバーカードの情報はアップルウォレット内に保存され、データのプライバシーと安全はしっかり守られます。実物のマイナンバーカードと同様、医療や銀行口座などのプライバシー性の高い情報は、iPのマイナンバーカード内に記録されることはありません。万が一、iPを紛失した場合は、マイナンバー総合フリーダイヤルで24時間365日体制で、一時利用停止が可能です。
《デジタル社会の実現に向けて》
国は、マイナ保険証のみならず、マイナポータルを活用した行政手続きや民間手続きなどのオンライン化を推進しています。書かない窓口、書かない確定申告等進んできている部分もあります。しかし、マイナ保険証等を利用していても書く作業が残っていたり、行政窓口でも書く作業がありますし、自治体によって進み具合も違います。実際に、デジタル行政サービスの満足度調査の結果では、満足と答えた方は未だ約3割。まだまだ課題が残ります。
デジタル社会の実現の意義は、デジタル化自体が目的ではなく、それによって私たちの生活の利便性が向上すること、人口減少社会の中で省力化を図り生産性を上げていくことと考えています。誰もが安心して、誰1人取り残されることのないデジタル社会の実現に向けて一市民としての目線から取り組んでまいります。