山本左近NEWS No58

2025.7.9

トカラ列島近海で、6月21日から地震が続いています。これまで直近の地震回数は1,500回を超え、過去と比較しても多い状況です。

住民の皆様は、不安な日々が続いていると思います。心よりお見舞い申し上げます。

今回は、このトカラ列島もその1つである有人国境離島について、解説していきます。

 

《有人国境離島地域とは》

日本には14,125もの離島があり、そのうち、約416島に人が住んでいます。中でも、有人国境離島と呼ばれる島々があります。これらの島々は、日本が領有権を主張する国境付近に位置し、かつ人が居住している島々のことです。

 

有人国境離島の重要性》

我が国の領海等の保全を図る上で、有人国境離島地域の保全と地域社会の維持が極めて重要です。有人国境離島地域は、日本国民が居住していることにより、漁業、海洋における各種調査、領海警備、低潮線保全区域の監視等の領海等の保全等に関する活動の拠点として重要な機能を有しています。つまり、国の領土を守る、安全保障の要であるとも言えます。

 

《有人国境離島の課題》

実は、本土から遠隔の地に位置する特定有人国境離島地域は、近年、危機に面しています人口が著しく減少し、将来的に無人化のおそれがあるのです。一度無人化すると、活動の拠点としての機能を維持することは著しく困難となります。この意味では、今回、地震が起きているトカラ列島に住民の方々が居住して下さっていることには大変大きな意義があるといえます。

これらの離島の多くは、本土との交通が不便な場合が多く、独自の文化や自然が残っていることも特徴です。それぞれの島が魅力的で価値があり、守られていくべき存在です。

 

《国の離島政策》

国は、国境離島の地域社会の維持の方向性を打ち出し、2027年に向けて、ヒトが交流し、それによってモノ・カネが対流し、島内経済が拡大する地域社会を目指しています。「交流・対流・循環」を生み出すための施策の方向性を策定しました。

 

《基本的な施策の方向性》

基本的な施策として、(1)航路・航空路運賃の低廉価(2)物資の費用の負担の軽減(3)雇用機会の拡充(4)安定的な漁業経営の確保などが示されています。

特に、雇用機会の拡充では、農林水産物の生産額の現在の水準を維持や、年間延べ宿泊者数を90万人泊増やすなどがあります。特に観光業においては、「もう一泊したい」と旅行者に思わせる、島ならではの食や体験などの着地型観光の充実、風光明媚さなどをもっと前面に押し出す必要があると考えます。

 

現職時代には、恵まれた自然環境を維持するための入島税などオーバーツーリズム対策について議論もしてきました。

 

皆さんもこの夏はどこか旅行を計画される際は、国内の離島へ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

信じられないほどの美しい自然の景色など非日常の世界を堪能できることでしょう。

 

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