山本左近NEWS No78
2025.12.3
政府は2025年度補正予算において、「医療・介護等支援パッケージ」として約1兆3649億円の大規模な支援策を盛り込みました。医療・介護の現場に身を置くものとして、「今、なぜこの補正予算が必要か」を解説します。
《概要と背景》
このパッケージは、地域の医療や介護サービスが崩壊するのを防ぐために、「緊急かつ集中的な支援」を行うものです。医療・介護の収入である診療報酬・介護報酬は国が決める公定価格で固定されている一方、物価・光熱費・人件費の高騰で支出だけが急増し、多くの現場が経営危機に陥っています。すでに病棟閉鎖や廃業も生じ、最近のある調査では介護事業所の約37.5%が赤字と報告されています。
《支援策》
医療分野で約1兆円を確保。来年の診療報酬改定までの「橋渡し」として安定的な医療提供体制の確保を図っています。病院の経営悪化と人材流出を防ぐため、賃上げ支援に加え、光熱費や医薬品価格の高騰による負担を軽減する物価高対策を講じています。診療所など無床の医療機関には、地域のかかりつけ医機能の維持にも配慮。また、高度医療を担う大学病院への経営支援、医療分野でのICT導入や生産性向上の取り組みの支援も盛り込まれています。
介護分野では約3200億円を確保。深刻な人手不足に対応するため、介護職員の処遇改善を中心とした支援が柱。
併せて、設備更新や燃料費・施設維持経費の補助、ICT導入・業務効率化支援を通じて、サービスの継続性を確保します。職場環境改善の取り組み(労働時間改善、研修、離職防止策など)にも補助金を設け、人材定着を強化。
訪問介護やケアマネジメント(居宅介護支援)の基盤確保のため、同行支援の充実、訪問介護のサテライト拠点整備、中山間地域での通所サービスに訪問機能を追加する支援など、地域の実情に応じた供給体制の強化が盛り込まれています。
《まとめ》
今回の補正は、あくまで医療・介護の崩壊を避ける「緊急支援」であり、持続的な制度改善は次期の診療・介護報酬改定に委ねられています。
医療・介護の深刻な経営危機を踏まえれば、補正予算による緊急支援や、今後の診療・介護報酬の見直しは、決して「バラマキ」ではありません。医療・介護という社会の重要なインフラを守るための“命綱”であり、国と自治体が果たすべき「責任ある支援」と位置づけるべきです。
私は現職時代から、医療・介護を守ることは、地域の命と安心、暮らし、そして未来を守ることだと訴えてきました。
病気や介護が必要になったときに、当事者も家族も必要な支援を受けられるようにするため、医療・介護の安定は欠かせません。
そのためには地域包括ケアや在宅での医療・介護連携の強化、そして地域格差の是正を、制度と予算の両面で支えることが必要です。
深刻な人手不足の中、AI・ICT・ロボットといった先端技術への挑戦は、生産性向上だけでなく、地域のものづくり産業の活性化にもつながります。世界的に高齢化が進む中、ものづくりの強みを持つ豊橋・田原で医療・福祉機器や介護分野の技術革新を生み出すことができれば、日本がこの分野で世界をリードする基盤を築くことができます。
私も、この地からデジタル・ヘルス・トランスフォーメーションを実現し、医療・介護を持続可能なものとし、全ての皆様に安心の未来をお届けできるよう取り組んでまいります。





