ウガンダ視察 活動報告④

2023.8.14

二つのプライマリースクール(初等教育)を視察しました。

 

理科の授業、インクルーシブ教育、TaRL (TaRL とは、就学年齢ではなく、生徒の理解や到達度に応じた授業。学習の基礎となる算数や英語を学ぶ。半年ごとにモニタリングをしてその子どもの学力が改善していれば、通常クラスだけの生活に戻る。 )などを見学。

 

教科書やノートを持たないクラスが多く、先生たちは、生徒たちの集中力との戦いです。しかし、どの授業でも、先生たちは見事に生徒たちを惹きつけ巻き込む授業を展開。
特に、インクルーシブ教育では、聴覚障害の生徒が一人教室にいることで、先生は手話を入れながら授業を進めます。
手話を生徒たちも覚えていくのですが、その日の授業テーマは「奴隷貿易」
重たく感じるテーマでありながらも、生徒たちによるロールプレイを取り入れたり、どう感じるか、どうすべきかなどの意見をドンドン引き出す参加型の授業でした。
最後には奴隷制度廃止を訴えたルソーやアダムスミスの名前をだし、続きはまた来週と〆ていました。
来週もまた聞きたくなるぐらいのレベルの高い授業、教師のレベルに感動しました。

 

教員へのヒアリング・ディスカッション では、

障害のある子どもたちが共に学ぶための指導法について研修を受けていること。
特に優秀な教員がこの学校に配置されていること。特別な支援を必要とする子どもが学べるよう、教員のキャパシティビルディングを行っていること、
それぞれの障害に対し、異なる指導法があるし、指導法をアップデートしていく研修があることなど、教育スポーツ省の取組も紹介されました。

 

しかし、過去5年間で生徒数が1000人から5000人に急増したこともあり、1 教室辺りの生徒数、トイレ・教室、教材などの設備や環境の問題、教師不足を解消するための午前と午後にわけるダブルシフト制、セカンダリースクールへの進学のための奨学金制度不足や就学前教育の不足など課題は多くあります。

 

また併設の特別支援学校も訪問。
そこでも障害のある子どもたちについても一人一人をモニタリングし、ベースライン調査でどのような支援が必要か、足りていないものは何かを明らかにするなど取り組んでいました。

 

環境改善されるべきことは多くありましたが、足らない環境の中でも教育における最も大事な教師の質の高さには、いい意味で驚きでした。

 

先程の手話を教えながらの先生もですが、他には算数の授業で使われていた教材は、木の枝。
日本で使われているような洗練された教材でなくても、身近に手に入るもので、「木の枝10がひとつの束」と生徒たちの理解を促し、算数を教えていました。
ひとクラスの生徒数は66人なのに、集中力が途切れた生徒を見つけては、注目させる先生のスキルはかなり高いと感じました。

 

教室で学ぶ子どもたちへの質問する機会がありましたので、日本のイメージについても聞いてみました。
「パワフル」「リッチ」「カンフー」とそれぞれの言葉で答えてくれました。
カンフーとあったので、習いたての少林寺拳法の型を少し見せたら、教室は大盛り上がりでした!

 

またタブレットを用いた授業を行なっている学校にも驚きました。
タブレット(106 台、三人で一つ)や充電設備、太陽光パネルの設置、教育ソフトウェアの支援がECWにより行われています。
算数や英語のクラスで使われているが今後は教科を増やしていきたいとのこと。
また教師からのコメントでは、それぞれが自分の学習ペースで進められることが利点であること。
まさに日本のGIGAスクール構想と同じ「個別最適な学び」がここウガンダでもありました。

 

タブレットのアプリケーション等を使用したら日本の小学生との国際交流もやりやすくなるのかな等のアイディアも湧いてきました。

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