山本左近NEWS No63

2025.8.12

お盆の時期に入りました。実は、F1にも夏休みがあり、先日のハンガリーグランプリ後から3週間のサマーブレイクに入っています。次回は8月31日のオランダ・グランプリ。

 

ちなみに、F1のシーズンは3月〜12月。僕の頃は全18戦でしたが、今やなんと全24戦。この間、世界中で24戦ものレースを行うことは、ドライバー、チームスタッフ、関係者にとって移動も多く大変ですが、それだけ世界中でF1の人気がさらに高まっている証拠でもあります。今回は、このF1にまつわるテーマを。

 

先日、豊橋駅で映画『F1』の感想をお尋ねをいただきました。私としては、1人でも多くの方にこの映画を観て、F1の魅力を知っていただきたいと考えていますので、今回は映画F1について解説します。

 

《映画『F1』について》

映画F1は、現在(8月12日時点)公開中のブラッド・ピット主演の映画です。監督は「トップガン・マーベリック」のジョセフ・コシンスキーと実は最強の布陣。

 

これまでも自動車やモータースポーツを題材にした映画はあり、過去の物語を参考にしたドキュメンタリー風の「フォードVSフェラーリ」や「ラッシュ」など有名です。

 

『F1』とこれらとの違いは、本物のF1の世界、仮想現実の中に入り込むことができる点にあるように感じます。映画の撮影が実際のF1レースの現場で行われ、現在走っているチームやドライバーが協力していることもリアルさの追及に一役買っていることでしょう。

 

この映画の全世界での興行収入は、5億4500万米ドル(約800億円)超え(ブラッド・ピット主演映画で最高興行収入!)。スティーブ・マックイーンの「栄光のルマン」や「グラン・プリ」を知らない若い世代にも、新しいモータースポーツの映画が見事に刺さった形になります。『F1』公開前、映画プロデューサーの友人が「大ヒットの予感しかない」と言っていましたがその通りになりました。

 

《映画『F1』を観終えて》

僕自身、幼少の頃から憧れ、挑戦し、ドライバーとして戦ってきたF1。一見、カッコよく輝いている世界。でもこの映画には、とても泥臭い「F1そのもの」がつまっていました

 

これまで観たどの映画よりも没入感が凄く、感情は終始揺さぶられっぱなし。全編通して「ハンカチなくして観られない」という状態でした。

 

現実のF1の世界とフィクションの世界を行き来する、これまでに経験したことのない体感型の映画だったように思います。

 

このF1の壮大さを表現することは、大変な作業だったと思いますが、F1の世界を経験した私が観ても、改めてF1そのものの素晴らしさ、凄さを感じることができました。

 

ここで、とっても共感した点を一つご紹介。

映画の主人公F1ドライバーのソニー・ヘイズは、僕たちがよく使う『ゾーンに入る』という言葉を「周りが静かになっていき、空を飛ぶ感覚」と表現していました。ちなみに『ゾーンに入る』というのは、F1ドライバーが集中力を高め、周囲の状況を冷静に認識しつつも、自身のパフォーマンスに完全に没頭している状態です。こういうとき、非常に高いパフォーマンスを発揮できます。

 

僕も現役時代、このゾーンに入るという状態を経験したことがありますが、このソニー・ヘイズの表現はまさにその状態をよく表現しているなと感じました。

 

この映画を通して当時のさまざまな感覚を思い出しました。だからといって、「よし、またF1に挑戦して乗ってみるぞ!」と思う程、現実の世界は甘くないこと重々承知ですが。笑

 

この映画は、F1のことをよく知らない皆さんにも、F1の魅力を伝えてくれる映画だと確信しています。

 

残りのお盆休みにお時間がある方は、ぜひ映画館へ!

 

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