山本左近NEWS No90
2026.3.19
イラン情勢の影響で原油価格が上昇し、ガソリン代も高騰。物流や農漁業のコスト増を通じて、家計の負担も重くなっています。緊急的な価格対策は必要ですが、それだけでは十分ではありません。
日本はエネルギーの約9割を海外に依存しており、この構造そのものを見直す必要があります。だからこそ、「地域でエネルギーを生み出す」という発想への転換が不可欠です。
《F1が示す「未来の燃料」》
F1が導入する100%持続可能燃料(前号参照)とは、化石燃料に頼らず、同等の性能を持つ燃料を非化石由来で製造したものです。主な原料は、①再生可能エネルギー由来の水素とCO₂からつくるe-Fuel、②非食用第2世代バイオ燃料、③都市廃棄物です。
これらは従来のガソリンと同等の性能を保ちながらCO₂排出を大幅に削減でき、さらに既存のエンジン車やインフラをそのまま使える「ドロップイン燃料」である点に大きな特徴があります。世界中の内燃機関車の脱炭素化を一気に進める可能性があるものです。
《鍵を握る「水素」》
こうした持続可能燃料の中核にあるのが「水素」です。水素は、e-Fuelの原料となるだけでなく、燃料電池や水素エンジンとしても活用される重要なエネルギーです。
水素は「作る・運ぶ・使う」に分けて考えられます。日本は「使う」分野に強く、燃料電池車や水素トラックで世界をリードしています。水素を「運ぶ」技術にも強みがあります。最大の課題は、いかに安く「作る」かです。水素には3種ありますが、理想とされるグリーン水素は電気代に左右されるため、日本ではコスト面で不利です。
一方、産油国や中国、インドは安価なエネルギーを背景に水素への投資を拡大しています。中国は生産・消費ともに世界最大ですが、その多くが石炭由来でCO₂排出が多いという課題も抱えています。
《田原市は“未来のエネルギーの最前線”》
こうした中で重要になるのが、再生可能エネルギーの活用です。私たちの地元・田原市は、日本最大級のバイオマス発電や広大な太陽光発電、洋上風力発電の実証も進む、全国でも有数の可能性を持つ地域です。
《エネルギーの地産地消が暮らしを守る》
再生可能エネルギーは、電気として使うだけでなく、水素や合成燃料に変えて蓄え、運び、さまざまな用途に活用できます。余剰電力から水素をつくり、それを車や船の燃料として使い、さらに合成燃料へと展開する。これにより、地域は「エネルギーを買う側」から「生み出す側」へと転換できます。
つまり、エネルギーの地産地消は「所得を守る政策」であり、「地域を強くする戦略」です。
《地域から日本の未来をつくる》
この地域の力を最大限に引き出すためには、水素燃料電池トラックの普及などで「使う場」を広げ、需要を創出することが重要です。
あわせて、e-Fuelと水素の直接利用を並行して実証し、技術の標準を主導していきます。
特にトラックや船舶など、脱炭素が難しい分野での展開が鍵となります。
生活、農業や漁業とエネルギーをつなぎ、新たな産業と雇用を生み出す。若い世代が安心して働ける地域をつくることが目標です。
エネルギー政策は暮らしに直結します。外に頼るのではなく、この地域から持続可能な未来を築いていきたいと考えています。






