山本左近NEWS No.112

2026.9.4

8月31日各省庁の令和9年度予算の概算要求が出そろいました。要求総額は約143兆円となり、4年連続で過去最大を更新する見通しです。概算要求は、各省庁が翌年度に必要と考える経費を財務省に提出する、いわば予算づくりの入口ですので解説します。

 

《予算編成の流れ》

政府は7月30日に概算要求の基本方針を閣議了解しました。各省庁はこれに沿って8月末までに要求を提出し、秋以降、財務省の査定や各省との折衝を経て、12月に政府予算案が決まります。その後、通常国会で審議され、成立を目指します。つまり概算要求を見ることで、政府が来年度、何に重点を置こうとしているのかが見えてきます。

 

《今年の大きな変化》

一つ目は、新設された「『強く豊かな日本』投資枠」です。

危機管理投資や成長投資など、国内投資を通じて潜在成長率を引き上げる施策について、要求上限を設けず(シーリングなし)、複数年度の計画を基本として要求できる仕組みです。農林水産省では総額3兆1,377億円のうち4,272億円をこの投資枠で要求するなど、各省庁が新たな枠を活用しています。

二つ目は、「補正予算依存からの脱却」です。これまで補正予算で繰り返し措置されてきた恒常的な施策を、当初予算に計上する方向へ転換します。令和7年度補正予算と令和8年度当初予算の合計は約140.6兆円。今回の要求額が大きく見える背景には、こうした「補正から当初へ」の組み替えもあります。

 

《金利上昇で重くなる国債費》

もう一つ注目したいのが国債費です。令和9年度の要求額は36兆6,386億円と過去最大で、前年度から5兆3,628億円増。国債費の積算に使う想定金利も3.0%から3.8%へ上昇。必要な政策を進める一方で、金利上昇が財政に与える負担にも、これまで以上に目を向けなければなりません。

 

《143兆円に入っていない「事項要求」》

さらに重要なのが、金額を示さず項目だけを要求する「事項要求」です。例えば、農林水産省では、新たな水田政策、食料安全保障、国土強靱化、飲食料品の消費税率引下げへの対応など7項目が事項要求とされています。

防衛省でも、安全保障関連3文書の改定に伴う事業など、現時点で金額が入っていない項目があります。したがって、143兆円は決まった額でも、歳出の上限でもありません。事項要求が具体化すれば増える一方、財務省の査定で削られる事業もあります。

ここから年末に向けて、何を残し、何を重点化するのかが予算編成の本番です。

私が大切にしたいのは、数字の大きさだけではなく、その予算が地域の暮らしや産業をどう支えるのかという視点です。農業、教育、インフラ、中小企業支援など、現場にはそれぞれ切実な課題があります。

皆さまからいただく具体的な声を国政に届け、必要な政策や予算につなげてまいります。

ぜひ、皆さまのご意見をお寄せください。

左近ニュース112号