山本左近NEWS No.120

2026.11.2

《PHPに重大な弱点、総理が異例の注意喚起》

10月21日、ウェブサイトの裏側で広く使われているプログラミング言語「PHP」に、重大な弱点が見つかりました。悪用されると外部からサーバーを乗っ取られるおそれがあり、高市総理が異例の注意喚起を行いました。26日には関係閣僚会議が開かれ、政府は来週中をめどに「緊急対策パッケージ」をまとめる方針です。

 

《AIは「守り」にも「攻め」にも使われる》

今回の弱点を見つけたのは、AIを活用した研究者でした。従来なら専門チームが数か月かける調査を、1人が約1週間で進めたといいます。AIは守りに役立つ一方、同じ技術は攻撃にも使えます。実際、国内でもAIを使ったツールでウェブサイトの弱点を探る攻撃が確認されています。

《被害は私たちの暮らしに及ぶ》

被害は企業の中だけでは終わりません。メール配信を請け負う会社への不正アクセスでは、延べ約900万件のメールアドレスなどが外部に出たと試算されています。自分が直接使っていない委託先から情報が漏れる。これが今のサイバー攻撃の怖さです。病院や物流が止まれば、暮らしそのものに影響します。

政府はこの10月から、重大な攻撃に使われるサーバーに先回りして対処できる「能動的サイバー防御」の運用も始めました。国の守りは一歩前進しましたが、それだけで全ての被害を防げるわけではありません。

 

《今日からできる5つの備え》

 では、私たちは何をすればよいのでしょうか。PHPの修正はサイトを運営する側の仕事で、皆さんがスマートフォンで何かをする必要は原則ありません。大切なのは次の基本です。

・パスワードを使い回さない

・パスキーや二段階認証を設定する

・スマホやパソコンの更新を自動にする

・メールやSMSのリンクからログインせず、公式アプリで確認する

・家族からの急な送金依頼は、いつもの電話番号で確かめる

AIで詐欺の文章や声は本物そっくりになっています。「不自然だから怪しい」ではなく、「別の経路で確かめる」習慣が身を守ります。もし「あなたの情報が漏れました」という連絡が届いたら、そのリンクは押さず、会社の公式サイトで確認してください。お金の被害があれば、金融機関や警察にすぐ相談しましょう。

《政府への働きかけ:4つの柱》

 私は、政府の緊急対策が現場で本当に役立つものになるよう、次の点を中心に働きかけていきます。

第一に、専任のIT担当者がいない中小企業、病院、介護施設、自治体への支援です。制度があっても手続きが負担で使えなければ意味がありません。支援が確実に届く仕組みを求めます。

第二に、古いシステムの更新です。修正プログラムを適用できない古い仕組みが、攻撃の入り口になっています。

第三に、委託先を含めた情報管理と、被害情報の素早い共有です。一社の被害を、社会全体の教訓に変える仕組みが必要です。同じ手口の被害を二度と繰り返さないためです。

第四に、AIを活用した守りの強化と、それを人がしっかり監督する体制づくりです。守る側こそ、AIを使いこなさなければなりません。

《サイバーセキュリティはデジタル社会の防災》

 地震や台風への備えと同じく、国、企業、地域、そして一人ひとりが役割を分け合うことが大切です。AIを恐れて立ち止まるのではなく、安心して使える社会の土台をつくる。そのために全力で取り組んでまいります。